畳替え

30年ぶりに家の畳を新しくする事になった。
…まあ、祖父（９９）が昔から「畳はこの店」って決めてた所以外に頼んだ事で…「ここは俺の家だ！家長の俺がいいって言う店じゃない所に頼みやがって！」と一悶着二悶着あったんだけど…

今回替えるのは3部屋。
その内１部屋が僕の部屋なんだけど、これをいっぺんに全部替えるとなると荷物の置き場がなくなっちゃうので、作業を2日に分ける事になった。

で、初日の朝。
畳屋さん（おじさん1人）が来て2部屋分の畳を全部持って行き、夕方、僕が外出から帰って来た時にちょうど作業が終了した所だった。
初日の作業終了後に畳屋さんが僕の部屋を見て「家具を動かしやすいように、本やDVDソフトを全部片付けてくれ」と言われる…

「えーーー!!!?」

ちょっと待ってー!!!!
DVDはまだしも、本は何冊あると思うのぉぉぉ!!!!!!!! 数えた事は無いけど、漫画や小説を入れて全部で数百冊あるぞーーー!!!!!!!

…しかしボヤいていても仕方が無いので…夕飯後に作業を始める…
ダッシュボードのDVDやゲームソフト、本棚に置ききれない本を全部ダンボールに入れて…いよいよ本丸の本棚の本にかかったんだけど…半分くらい片付けた所で… もう無理！
「…全部片付けろって言われたけど…まあ、このくらい残していても動くだろう。『中身を片付けなくていい』って言われた隣のタンスと同じくらいの質量だし」と開き直り、その夜は別の部屋で不貞寝する事に…

そして翌日の朝8時。
別の部屋で寝ていた僕が、畳替えの作業が始まって間もない頃に起きると…

居間に本棚の残りの本が全部置かれていて…

え…えぇ～～～…

「あ～…やっぱり全部出さなきゃダメだったのかぁ…畳屋さんに悪い事しちゃったなぁ…」と思いながら…「本、全部出しちゃったんですか？」と尋ねると、「本棚が動かないんですよ！」って答えが…
「えぇ？」と思って部屋を見ると…本棚よりずっと質量がありそうなタンスは動いてるのに…？
畳屋さんがどんなに動かそうとしても微動だにしない本棚…
僕もちょっと手伝うも…ホントに動かない！

「おかしいな～？」と首を傾げていたら「あ！」という畳屋さんの声。
「何だ？」とその視線の先を見ると…

…柱に固定されてるッ！

高さ180センチくらいの本棚の上部と後ろの柱が、L字型の金具２つで固定されていた!!!!!!!
…どうやら父が生前、母にも伝えずに黙ってやったらしくて…
そこで早速、その金具を外して家具を動かす道具をかませて動かしてみたら… 動いた！
さっきまでの壁のような感じが嘘のように、いとも簡単に動いた！ まるで「ゼルダの伝説」の謎解きの鍵になるブロックばりに！その瞬間、僕の頭の中で「♪ピロリロリロリロ～ン！」ってゼルダの謎解きのBGMが流れましたよ！

まあ、無事に畳替えは済んだんだけど…そこでふと思ったのは…本棚が固定されてる事にもっと早く気付いていたら…

残りの本を全部出さなくても良かったんじゃないか？

…新しい畳の良い匂いに包まれながら…本やDVD、仕事の資料を元に戻す作業に追われました…