妖怪・猫好きおじさん

例の茶トラ！
僕に心を開いてくれてからというもの、更に頻繁に通うようになった。

そして気付いた。

…どうやら、午後2時過ぎに…この茶トラにエサをやっているおじさんが、自転車に乗ってやって来るという事に。

しかもこのおじさんは2人組だという事に。

…徘徊に出かける時間とコースの関係で、僕が茶トラの棲み処に到着するのは大体2時過ぎになっちゃうんだけど、そこで茶トラの姿が見えない時に僕がボーっとその場で待っていると…どこからともなく自転車に乗ったおじさん2人組（どちらも60代くらい）がやって来まして…
で、その2人。自転車を押して僕の所までやって来る間…何かをブツブツ言いながら…

物凄い目つきで僕を睨んで来まして…

…うーーん。何だろうなぁ～？
僕の事を「茶トラをいじめに来てる奴」とでも思ってるのかなぁ～…？
それとも…

「俺たちの茶トラに近寄るんじゃねぇ！」

って事なのかなぁ～…？
馴染みのキャバ嬢に近寄る他の客を威嚇する感じの？そしてキャバ嬢を例えに出したものの、僕、これまでキャバクラには仕事関係の方に2回連れて行って貰った事しかないし、綺麗なお姉さんが左右についたにも関わらず、”モテない”をこじらせ過ぎたせいで「…このお姉さん達は、お金が貰えるから僕なんかと話をしているんだよな」としか思えなくて、全く楽しめなかったし全くハマらなかったけど。

…上記どっちの理由にしても…僕が立ち去るまで2人して物凄くガンを飛ばしてくるので…僕は堪らず、そっとその場を離れるんだけど…
で、15分くらい周辺をウロウロしてから再び行くと、もう2人ともいなくなっているし、茶トラもやって来ているしで僕にとってはラッキーな事この上ないんだけど。

そして先日。
おじさん2人組が帰った後に、いじり倒してやろうと茶トラに近寄ったら、しばらくの間は大人しく頭を撫でさせてくれてたんだけど…突然ガバッと立ち上がって「ニャーニャー」鳴きながら歩き出し、小さい石の柱の陰に隠れてジッと僕を見つめて来て…
「何だ？どうした？」と僕が近付くと…また「にゃ！」って鳴きながらその場から歩き出して、僕から5mくらい離れた所でゴロンと横になり、そこでまた僕をジッと見つめて…
で、僕がまた近付くと…またすぐに立ち上がってちょっと移動してゴロン…

…これを5回繰り返してハッと気付いた…！

「…お、おあずけ!!!!!!!!?」

ひぃぃぃ!!!!!!!!

常にベタベタ触らせるよりも、たまに触らせない日を設ける方がより触りたくなって、更に自分の元へ通うようになるって事を知ってるんだなッッッ!!!!!!!!!!?

怖ろしい子ッ！

そしてこのやり方を、街中で人目も気にせずイチャイチャしているバカップルにも見習わせたいッ！
「節操なく常にイチャイチャしていたら、それだけ飽きが来るのも早いんだぞ！」ってね!!!!!!!!
あ！別にイチャついてるカップルが羨ましいんじゃないぞ！僕は社会をより良くしようと…より良く…け、決して…う、羨ましいんじゃ… ない…ぞ…グスン…

…ハッ！

いけないいけない！
せっかく妄想の中で楽しんでいたのに、うっかり現実に戻る所だった!!!!!!!!!

よ～し！まんまとそのツンデレ作戦に乗ってやろうじゃねぇかぁ～！今度は思う存分いじり倒してやるぜぇぇぇ!!!!!!!!!
ただ、僕のそんな興奮した様子を先のおじさん2人組に目撃されて、通報されないかは心配だけど！