都合のいい人間

チクショー！いい天気だよ～！

こんな天気のいい日は季節柄、昇仙峡にでも紅葉を観にドライブへ行きたいねッ！

彼女がいればなッッッ!!!!!!!!!

…ま、そんな相手なんかいないので、秩父方面へドライブに向かうカップルの事を、釣り上げられてから４日間放置されたサバのような目で見ながら独り街を徘徊。
「へ、へん！時季も時季だし昇仙峡までの道は今頃大渋滞さッ！巻き込まれちまえばいんだッ！」と、最初は強がっていたものの…「もっとも熱々のカップルにとっては、そんな状況すら楽しいんだろうけどなッ！」とも思い始めて…結果先ほどより心がベッコリと更に凹む事態に…

…そんな精神状態だったからなのか…ふと気がつけば、足が自然とお馴染みの「まんじゅう顔星人」の住んでいる路地に向かっていた…

「いるかな？いないかな？」と周りに目をやったら…いた！
日当たりのいい場所に座って目を瞑りながら日向ぼっこと洒落込んでやがった！

僕がやって来るのを薄目を開けて「チラ」っと確認した星人。
ふらふらとその方へ近寄ろうとする僕。しかし次の瞬間！

「…そ、そうだわ！アンタこの前、別の人間（女性）にゴロゴロ甘えてたじゃないのッ！何よッ！いつもはアタイを見かけちゃ自分から走り寄って来て、足元に体を擦り付けて甘えて来るくせに！結局、アタイじゃなくったって構わないんでしょッ!!!!!!!!? 遊んでくれそうな人間だったら誰だっていいんでしょッッッ!!!!!!!!!!!!? ア、アタイはアンタの”都合のいい人間”じゃないんだから！ど～うぞ、他の人間とよろしくやってなさいなッ！フンッ!!!!!!!!!」

と思って、プリプリしながら前を素通りしてやった！
「フンだ！知らないんだから！」と歩いていたら…後ろから 「ニャ～…」 って鳴き声が…！
ふと振り向くと…星人が僕をジッと見ながら「ニャ～…ニャ～…」と鳴いているじゃないか…

「んも～～～う！」

踵を返して戻ったら、星人は体をグーッと伸ばした後、 僕の足元に飛んで来たッ！
そして頭を撫でる僕の手のにおいをクンクン嗅いだり！左足に体全体を擦り付けて来たりとゴロゴロ鳴きながら甘えて来てさッ！

…いつものようにしばらく撫で回してからその場を去る時にふと思った…

「…いつも『遊んで～』と甘えて来る猫を『仕方ないな～』と言って遊んでいる”猫ジゴロ”を気取っていたけれど…実は遊ばれてるのは僕の方なんじゃないか!!!!!!!!!!?」

ひ、ひいぃぃぃぃ～～～!!!!!!

な、なんてこった！しかも「その可愛さで地球征服を企んでいるねこ星人達と戦う」とかなんとか言ってたのに、僕こそ完全に 調教済みじゃないか!!!!!!!!

しまった～！「ミイラ取りがミイラになる」とは正にこの事だッ！チクショー気付かなかった…って、 あれ？

皆さんはとっくにお気づきでしたか？

…あ、そうですか、すみません…

あ～あ！今日の内容でまた色んな人にドン引かれたなー!!!!!!!
引かれついでに、別の場所にて車の上で日向ぼっこ中の星人。実はもう一匹、キジトラのと同じ格好で並んで日向ぼっこをしてたんだけど、僕が近寄ったらキジトラは逃げちゃった…